バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)は、イギリスのロンドンにある宮殿。外周護衛を担当する近衛兵の交代儀式を見物出来る事で有名。現在では王室の代名詞として有名だが、イギリスのある大衆紙で「イギリスで最もつまらないアトラクション」として紹介された事がある。
約1万坪の敷地を誇り、舞踏会場、音楽堂、美術館、接見室や図書館等が設置されている。部屋数は、スイートルーム19、来客用寝室52、スタッフ用寝室188、事務室92、バスルーム78である。宮殿に勤務する人は約450名、年間の招待客は4万人にもなるという。王族たちを補助する侍従50人は同じ宮に住み込み、その他の侍従達は王室厩舎であるロイヤル・ミューズ(Royal Mews)に寄居する。
宮殿正面広場には、ヴィクトリア記念碑が建立されており、その向こうではセント・ジェームズ・パークとトラファルガー広場につながるザ・マルが、生い茂ったプラタナス並木に沿って位置している。
現在では、7月26日~9月24日の間に限って一般入場が可能となっている。入場料はウィンザー城を修復する為の費用に充てられている。
1703年に、バッキンガム公ジョン・シェフィールドが自らの邸宅として桑畑を購入して建てたバッキンガムハウス(Buckingham House)が始まりとされる。当初は煉瓦のみで建てた非常に粗末な邸宅に過ぎなかったが、1761年にジョージ3世が、王妃シャーロットと子供達の為に譲り受けて私邸として使うようになった。
引き続き王位に上がったジョージ4世は、建築家ジョン・ナッシュの忠告によって、煙瓦造りだったバッキンガムハウスを1825年から12年かけて全面改築に着手、それまでルネッサンス様式だった建物をネオクラシック様式に改装したが、当のジョージ4世は王宮の完成を見ないまま死去した。
1837年にヴィクトリア女王の即位の際にセント・ジェームズ宮殿から移り住み、以後バッキンガム宮殿はイギリス王室の公式の宮殿となった。
1913年にザ・モールと直線で繋がれた建物とバルコニーが建設され、このバルコニーが祝日になれば王室一家が国民の前に姿を見せる場所となっている。
因みに、宮殿の屋上に王室旗が掲げられている時は女王もしくは王が在宅、イギリス国旗なら不在を示している。
イギリスの名物と同時に重要な観光イベントである衛兵交代式は、4月から7月までは毎日1回、他の月では2日に1回ずつ午前11時もしくは11時30分(日曜日は10時。大雨の日は中止)に行われる。近衛隊はグレナディア(Grenadier Guards)、コールドストリーム(Coldstream Guards)、スコット(Scots Guards)アイリッシュ(Irish Guards)、ウェルシュ(Welsh Guards)といった5つの部隊で構成されている。特に王の誕生日に挙行される最も派手な交代式を、トルーピング・ザ・カラー(Trooping the Color)と言う。