ビッグ・ベン (Big Ben) とは、英国の首都ロンドンにあるウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)に付属する時計台 (Clock Tower) の大時鐘の愛称。
現在では時計台全体、あるいは大時計そのものをさして言う場合もある。
1834年に焼失したウェストミンスター宮殿の再建には、チャールズ・バリーの設計したゴシック復興様式のものが採用された。そして、宮殿の設計責任者であるバリーは併設する時計台の設計をオーガスタス・ピュージンに依頼した。そのため時計台は初期のピュージンによる設計を髣髴とさせるものとなっている。
時計台の高さは96.3m。下部の61mは煉瓦造、残りの高さは鋳鉄の尖塔からなっている。時計の文字盤は地上55mのところに位置している。
地下鉄ジュビリー線の延伸などで地盤状態が建設時とは変化し、時計台はわずかに北西へ傾いている。傾斜度は約1/250、文字盤の位置でおよそ220mmほどである。また、熱の影響で一年かけて東西方向に数mmぶれる。
大時計の文字盤はオーガスタス・ピュージンによって設計された。直径7mの鉄枠に312個の乳白ガラスがステンドグラスのようにはめこまれ、文字盤の周囲には金めっきが施されている。それぞれの文字盤の下には金文字のラテン語で「DOMINE SALVAM FAC REGINAM NOSTRAM VICTORIAM PRIMAM(主よ、我等が女王ヴィクトリア一世に御加護を)」と刻まれている。
ビッグ・ベンの時計の正確さには定評がある。設計したのは、弁護士でアマチュア時計学者のエドマンド・ベケット・デニソンと、王室天文官のジョージ・ビドル・エアリーである。時計は1854年には完成していたが時計台の完成は1859年であったため、新しい脱進機を発明するだけの時間があった。この脱進機のおかげで振り子と時計構造をうまく分離させることが可能となった。
振り子は風の影響を受けないよう時計部屋の真下にあり、振り子自体は長さ3.9m、重さ300kg、2秒ごとに時を刻む。構造全体では重さ5tになる。
ビッグ・ベンは、ウェストミンスター大時計の時計台で最も大きな鐘につけられている愛称である。1856年8月6日に鋳造された初代の鐘は時計台が完成する前にすでにウェストミンスター宮殿の庭まで運ばれていたが、運用前に修復できないほどのひびが入り、代わりの鐘が再鋳造されることとなった。新しい鐘の重さは13.5t、高さ2.2m、直径2.9m。この鐘が初めて鳴らされたのは1859年7月のことである。しかしその9月、運用開始からたったふた月で鐘の舌(ぜつ)によるひびが入ってしまった。その後3年間は四半時鐘(15分鐘)のうちで最低音の鐘が時鐘を鳴らした。修繕ではより軽い舌を取り付け、ひびが広がらないようにひびの縁に四角い穴を開けた。さらに、新しい舌が損傷のあった箇所を叩かないよう鐘の向きは1/8回転された。これが現在の大時鐘であり、以来このひびが鐘に独特の音色を与えている。
毎日正午に奏でられるビッグベンの鐘のメロディは、4つの音で奏でられる日本の学校等でお馴染みのチャイム(「キーンコーンカーンコーン」)のメロディの基となったとされる。正式な曲名はウェストミンスターの鐘という。
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工事責任者で国会議員のベンジャミン・ホール卿(Sir Benjamin Hall, 1802年 - 1867年)の名にちなんで命名された。
毎年夏時間と冬時間を切り替える際に時計を止めて、部品の補修・交換、鐘の調律などを行う。