ザ・ナショナル・ギャラリー (The National Gallery) は、イギリスのロンドンにある美術館である。トラファルガー広場に面し、イタリア・ルネサンス、オランダ絵画などの充実したコレクションで知られる。
1824年、J.J.アンガースタインの遺贈したコレクションをもとに開設された。当初の所蔵絵画はわずか38枚だったという。当初はアンガースタインの邸宅を改装してギャラリーとしていたが、1838年、現在のトラファルガー広場に移転した。
最初のディレクターであったチャールズ・イーストレイクがイタリア・ルネサンスの作品を揃え、3代目のディレクターであったフレデリック・ウィリアム・バートンが18世紀美術や、ハンス・ホルバイン (子)の「大使たち」などを購入。1897年、多くのイギリス美術は新設されたテート・ギャラリーに移された。
所蔵作品の点数ではルーヴル美術館、メトロポリタン美術館などの巨大コレクションに譲るが、作品の質の高さでは他の大美術館にひけを取らない。同じロンドンのテート・ブリテン(テート・ギャラリーのイギリス美術専門館)がイギリス絵画を主としているのに対し、ナショナルギャラリーはイタリアなどの外国絵画のコレクションが中心で、とくにイタリア・ルネサンス、オランダ絵画などが充実している。なお、ナショナル・ギャラリーの所蔵品はポスト印象派までで、それ以降の海外美術はテート・ギャラリーの分館、テート・モダンが担当する。
近年、中世美術の常設展示と企画展示をおこなえるセインズベリ棟(ロバート・ヴェンチューリ設計)がオープンし展示面積が大幅に増えたが、さらに改築工事を進めている。