スピンネーカ-・タワー | |
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スピンネーカー・タワーの位置(ハンプシャー内) link= スピンネーカー・タワー | |
施設情報 | |
所在地 |
ガンウォーフ・キー イギリスの旗 イギリス・ポーツマス |
座標 |
北緯50度47分44.22秒 西経1度06分30.86秒座標: 北緯50度47分44.22秒 西経1度06分30.86秒 |
状態 | 完成 |
建設期間 | 2001年1月 - 2005年10月 |
用途 | 展望塔 |
建設費 | 3,560万イギリス・ポンド |
最上階 | 110 m (360 ft) |
各種諸元 | |
階数 |
4 グリーンツリー・オールチャーチ・エヴァンス) |
施工 | モーレム |
スピンネーカー・タワー(スピネッカー・タワーまたはスピネーカー・タワーとも、英: Spinnaker Tower)は、英国に属するイングランドハンプシャー州の都市、ポーツマスに存在するランドマーク・タワー。高さは170メートル (560 ft)。アウトレット・ショッピングセンターのガンウォーフ・キー内に位置する。
英国の宝くじチェーン、ナショナル・ロッタリーからの金銭的支援を受け、ミレニアムプロジェクト(2000年記念事業)の一環として建設を計画された、ポーツマス・ハーバー・ルネサンス計画における中心的存在。当時の呼称はポーツマス・ミレニアム・タワーであったが、建設に遅れが生じたために2001年内には完成しなかった。うねった船の帆に似せたその明快な形状に由来して、名称をスピンネーカー・タワーに変更し、同タワーは4年間の建設工事を経て、2005年10月18日に開業した。タワーは複数の賞を受賞しているが、そのデザインについては賛否が分かれている(詳細はこちらの節を参照)。また2015年7月からはエミレーツ航空と提携を結び、エミレーツ・スピンネーカー・タワーに改称された。
ポーツマス・ハーバーとスピンネーカー・タワー。
ポーツマスはフランスなど他国からの攻撃に備えるため、英国の要塞としての役割を担い、軍需産業を発展させ、軍港として経済を維持させてきた。しかしながら1904年の英仏協商締結や、20世紀末における東西冷戦の終結、EUの統合などにより、1980年代半ばにはポーツマスの軍港としての存在意義は失われつつあった。海運業についても、ポーツマスが属する湾が西北に切れ込んだ場所にあるサウサンプトンが主要な街となっていた。一方、軍需産業に頼り切っていたポーツマスは、フランスのシェルプールやスペインのビルバオへ向けたフェリーが出航するようになり、観光客も多かった。しかしながら、文化的魅力として挙げられるのは軍港として名を馳せた時代の歴史的展示物。</ref>にとどまり、文化的・商業的に発展した街とは言えない状況で、観光客にとっては淡白に感じられる街だった。
1995年にポーツマス市議会および英国国防省がガンウォーフ地域を民間の開発事業者に入札させ、3千年紀を祝うミレニアム・タワーの建設に意欲を示したバークレー・グループが契約を勝ち取った。その計画について、経済的成功を収める見通しが立っていないことから周囲から否定的な見方がなされていたが、当初の計画にアウトレットの建設を加えたバークレー・グループは、ガンウォーフ地域の大規模な再開発について市議会からの承認を得た。また、ナショナル・ロッタリーの配当金を用いて英国にランドマークを建設する「ランドマーク・ミレニアム・プロジェクト」を推進する政府機関、ミレニアム・コミッションから、ポーツマス・ハーバーの再興計画に対して4,000万イギリス・ポンドの資金を受理した。ミレニアム事業の一環として、歴史的な造船所や船、信号所などといったかつての港町としてのたたずまいを残しながら、ポーツマス・ハーバー駅の南側のドックを中心に約200億円を費やし、アウトレット・ショッピングセンターのガンウォーフ・キーを含む複合商業エリア、ポーツマス・ハーバー・ルネサンスを完成させた。しかしながら、ミレニアム記念のために建設が予定されていたポーツマス・ミレニアム・タワーという名称のタワーは、十分な建設資金を得られず、建設計画の度重なる遅れから2001年内には完成しなかった。結果的に2001年11月から2005年10月までの4年間を建設に要し。当初の建設費用としてバークレー・グループはナショナル・ロッタリーからの資金3,000万イギリス・ポンドに加えて900万イギリス・ポンドを負担する予定であったが、1998年にはタワーの経済効果が不鮮明であったがために300万イギリス・ポンドにまで負担額を削減した。最終的な建設資金は3,560万イギリス・ポンドで、国庫を資金源とはせず、税納で1,100万イギリス・ポンドをまかなっている。
タワーの塗り替え作業 スピンネーカー・タワーは2005年10月18日に開業し、国内のみならず海外にもポーツマスの存在感を示した。開業初年度には60万人の来場者数を記録しており、英国政府観光庁の最高責任者であるトム・ウライトは「スピンネーカー・タワーは早くも海外の観光客の旅行プランに組み込まれるような必ず訪れるべき場所のひとつになった」と述べた。このように当初は多くの観光客を呼び集めたものの、徐々に減少傾向にあったことから、フリーホールライドの導入を計画している。</ref>。また、観光客の増加を見込んで、周辺に軍艦マリー・ローズ号の博物館が2013年5月に完成している。2010年には世界大タワー連盟に32番目として加盟した。
2015年5月には、「ポーツマス市議会が所有する土地や資産を広告目的で有効に用い収益を増大させる」よう活動の裾野を広げ、その一部として民間のスポンサーにタワーの命名権を売り渡すことを市議会が提案した。提案されたスポンサー契約には少なくとも5年間のタワー命名権、スポンサーが選択した色やロゴへの塗り替えおよび変更、2015年アメリカスカップワールドシリーズ開催前の7月17日より前に新しいシンボルマークを導入することが含まれた 。そしてドバイを本拠とするエミレーツ航空がエミレーツ・スピンネーカー・タワーへ改称を行う予定で特別スポンサーになることが報じられた。ブランド再生の一環として、タワーは赤と白色に塗り替えられる予定であったが、その配色は現地のサッカーチームのライバルサウサンプトンFCのそれと同じであり、何千もの署名が集まった陳情書が提出されたことを受けて、ポーツマス市議会は変更の見直しを決定した。6月19日には青、金、白色に塗り替える新計画が公表された。
3つある展望台のうち、最も下にある階の内装。中央にガラス製の床があり、地上を眺めることが出来る。 タワーの高さは170メートルで、中に入場できる建築物の中では、英国でロンドンを除き最も高い、エンジニアリング・コンサルタント会社のスコット・ウィルソン・グループ(現・URSコーポレーション、ポーツマスの海軍史を反映している。タワーを構成する材料は鋼鉄とコンクリート。
タワーの上部には3つの展望台があり。最も高い位置にある展望台(いわゆるクロウズ・ネスト)にはワイヤーの網で作られた天井があり、観光客が風雨にさらされる状態となっている。このいわゆるグラス・フロアは。以降外付けエレベーターの修理を試みるも失敗を繰り返し、内部のエレベーターのみが稼動しており、緊急時に内部のエレベーターが停止した場合、身体障害者はタワーに登ることができない状況であった。これは1995年障害者差別禁止法に反していたため、2006年にタワーは営業停止の危機におちいった。市議会は外付けエレベーターを新しいものに取り替えるには負担が大きすぎると判断し、のちの2015年に除去作業を完了させた。また2008年の見積もりでは、一連の騒動によって市議会とタワーを提携運営するコンティニュアム・リーディング・アトラクションズは最大350万イギリス・ポンドの収入減を被ったとしている。イルミネーションに関しては、タワーの建設および設計を担当したモーレムは当初、GIAイクエイション・ライトニング・デザイン社のマーク・ヘンズマンを主要契約者として、タワーの外側を照らす照明デザインの制作を委託した。</ref>の製品、Exterior 200が22個とExterior 600が28個の計50個の組み合わせから構成される、光の色が変更可能な建築用の投光照明(ショー・ライティング)の2種類が存在する、コンティニュアム・リーディング・アトラクションズ (英: Continuum Leading Attractions)が提携して運営されている。
営業時間は10時から18時まで。閉館30分前まで入場が可能。毎年12月25日は休業日となっている。入場料は大人8.55ポンド、学生7.55ポンド(2013年時点)。
受賞したアワードについては受賞歴の節を参照されたい。2006年のStructural Awardsにおける審査員は、通常の慣例に則ることなく設計された複雑な構造と、風が及ぼす影響を把握し、定量化するためにモデルの検証が不可欠であった建設状況に言及しており、それらを踏まえた上で「世界で最も精巧なタワーの1つであり、ポーツマス・ハーバー再興計画における要である」と評価した。同年のPortsmouth Society Design Awardsにおいては、「ポーツマスの象徴になるという目的を達成し、開業初年度から何十万もの訪問者を魅了している」と述べ、「革新的な設計技術の勝利」と表現した。また、2007年のTourism ExSEllence Awardsでは顧客サービス、営業およびアクセスの良さなどの分野において得票し、タワーの眺めは「友好的なタワースタッフによる力添えもあって、観光をユニークな経験にさせてくれる」とした。
旅行ガイド会社のDK・アイウィットネス・トラベル・ガイドが、スピンネーカー・タワーをブリテン島において最上位の建物のうちの1つであり、イギリス国内において訪れるべき20箇所の建造物の1つであると位置付けたことをうけ、『タイムズ』紙の建築批評家であったトム・ディックホフは、その一覧に掲載されるべきではないとの否定的見解を示した。彼は記事の中で、タワーを「ジャンク・フードのような構造をもった知性に欠ける建物」と表現し、模したスピンネーカーの形状については「単なる象徴であり、ただ観光客に必ず見てもらう、つまりチェックボックスにチェックを入れてもらうような目的のためだけに設計された」と批評し、「距離を置いて眺めれば海軍とともにあったポーツマスよりもドバイを彷彿とさせる形」で感嘆はしないと述べた |- |rowspan="2"|RICS Awards |Project of the Year |rowspan="2"|優勝 |rowspan="2"| |- |Regeneration |- |Portsmouth Society Design Awards |Best New Buildings |優勝 | |- |2012年 |Beautiful South Awards 2012/2013 |Large Attraction of the Year |高評価 | |- |rowspan="3"|2013年 |Beautiful South Awards 2013/2014 |Large Visitor Attraction of the Year |シルバー | |- |South Coast Business Awards |Customer Service |2位 | |- |World Federation of Great Towers Awards |Staffing Award |優勝 | |- |2014年 |The News Business Excellence Awards |Retailer, Hospitality, Tourism and Leisure |優勝 | |}
スピンネーカー・タワーのマスコット、「スピニー」(en-short. Spinny)
グラス・フロアからの眺め。
地上から見上げたタワーの後部。
三角形の避難用階段。