ポントカサルテの水道橋と運河(ポントカサルテのすいどうきょうとうんが、英語: :Pontcysyllte Aqueduct and Canal、ウェールズ語: Traphont Ddŵr Pontcysyllte) )はイギリスにおいてトレヴァーの村と北西ウェールズのレクサムにあるフロンカサルテ(Froncysyllte)との間で、ディー川の上に架かりランゴレン運河(Llangollen Canal)を載せる航行可能な水道橋および運河である。水道橋は1805年に完成し、英国でもっとも長く、もっとも高い。そして英国の文化財(グレードI)に指定され、また世界遺産に登録された建造物でもある。水道橋は毎年のべ10,000艘以上の船(ナローボート)が航行し、また25,000人以上の歩行者が渡る英国最大のものである。
座標: 北緯52度58分14秒 西経3度5分16秒 / 北緯52.97056度 西経3.08778度
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ポントカサルテの水道橋と運河 | |||
英名 | Pontcysyllte Aqueduct and Canal | ||
仏名 | Pont-canal et canal de Pontcysyllte | ||
面積 | 105 ha (緩衝地域 4145 ha) |
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登録区分 | 文化遺産 | ||
登録基準 | 文化遺産(1),(2),(4) | ||
登録年 | 2009年 | ||
拡張年 | |||
備考 | |||
公式サイト | ユネスコ本部(英語) | ||
地図 | |||
ポントカサルテの水道橋と運河の位置 | |||
世界遺産テンプレートを使用しています | |||
ポントカサルテの水道橋と運河(ポントカサルテのすいどうきょうとうんが、英語: :Pontcysyllte Aqueduct and Canal、ウェールズ語: Traphont Ddŵr Pontcysyllte) )はイギリスにおいてトレヴァーの村と北西ウェールズのレクサムにあるフロンカサルテ(Froncysyllte)との間で、ディー川の上に架かりランゴレン運河(Llangollen Canal)を載せる航行可能な水道橋および運河である。水道橋は1805年に完成し、英国でもっとも長く、もっとも高い。そして英国の文化財(グレードI)に指定され<ref>"Listed Buildings: Pontcysyllte Aqueduct, Trevor", Wrexham County Borough Council, viewed on 2009-07-08</ref>、また世界遺産に登録された建造物でもある。水道橋は毎年のべ10,000艘以上の船(ナローボート)が航行し、また25,000人以上の歩行者が渡る英国最大のものである。
トーマス・テルフォード(Thomas Telford)とウィリアム・ジェソップ(William Jessop)によって築かれたこの水道橋は、長さ307m(1,007フィート)、幅3.4m(11フィート)と深さ1.60m(5.25フィート)の規模を有する。主たる構造は、内部が空洞の石造り橋脚19本と、その上に架けられた鋳鉄製のトラフ(溝形の部材)からなっており、トラフはアーチリブ(アーチ形の構造部材)を介して橋脚によって支えられる。トラフは高さ38m(126フィート)の位置にあり、その支間(各橋脚の間隔)は16m(53フィート)である。多くの人々はこの水道橋の完成に懐疑的であったが、テルフォードは以前に少なくとも一つの水道橋を築いた経験を有しており、彼には自信があった(野原の中にあるシュローズベリー運河(Shrewsbury Canal)のロングドン・オン・ターン水道橋(Longdon-on-Tern aqueduct)は、1944年に放棄されている)。
モルタルは石灰と水、牛血を混ぜたものが用いられ、鋳鉄は近くのプラス・カイナストン鋳造所で製造された。同鋳造所はこの橋のために建てられたと言われる。水路となるトラフはフランジ付きの鋳鉄製鉄板をボルト止めにし、継ぎ目にはウェールズ製フランネルおよび白鉛と、ボーリングで発生した鉄の粒子を混ぜたコーキング剤を詰めて水漏れしないようにして作られた。鉄板は長方形ではなく、伝統的な石積みアーチを彷彿とさせる形状をしており、下方のアーチリブに形状を合わせている(#ギャラリーの「運河船が水道橋を通り抜ける」画像を参照のこと)。1径間につき4つあるアーチリブは鋳鉄でできており、外側に羽目板を貼って内部が見えないようにしている。トラフはアーチリブに直接固定されていないが、トラフの底板には突起が鋳造されており、これをアーチリブに取り付けて動かないようしている 。水漏れしないかを確認するため、水を入れた状態で6ヶ月間置かれた。
当初エルズミーア運河(Ellesmere Canal)と呼ばれたものの一部であり、一流の土木技師であるトーマス・テルフォードが手がけた最初の主要な土木工事のひとつである。現場監督はより経験豊かな運河建築技師であるウィリアム・ジェソップが担当した。鉄はシュローズベリーと近くのケヴンマウルでウィリアム・ハゼルダイン(William Hazledine)の鋳造所から供給された。水道橋は1805年に供用が開始された。総工費47,000ポンドで設計・建築におよそ10年を要した。
水路の側面には船引き道が張り出して設けられている。この配置によって水路は最大限の幅が与えられ、ボートの前方から移動する水はボートを通り越してより簡単に流れることができる。そして、ナローボートの水面上の自由な動きを確保する。水道の脇には歩道があり、歩行者は船引き道の外側の端の上で欄干によって保護されている。はるかに小さな規模であるが、類似した構造の事例としてコスグローヴ水道橋(Cosgrove aqueduct)がある。
水道橋の維持・管理のため、下を流れるディー川に運河の水を排水することも考慮されており、そのための排水栓が存在する。排水時には150万リットルの水が滝の如く噴き出し、ディー川に注がれる。これを目当てに、見物人も訪れる。
水道橋と周辺地域は、1999年にユネスコ世界遺産の候補地として暫定リストに加えられた。 2005年には、水道橋は建築200年の節目の年として記念の催しが行われた。
2008年にはイギリス政府より推薦書が提出され、同年10月にポントカサルテ水道橋を含む主要な運河の範囲にユネスコからの評価担当者が派遣され、物件管理と真正性が分析・確認された。2009年の第33回世界遺産委員会で審議され、6月27日に世界遺産に正式登録された。
この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた。
ポントカサルテ水道橋の下をディー川が流れる。
運河船が水道橋を通り抜ける。
水道橋からのディー渓谷の眺め。
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