青の洞窟(Grotta Azzurra)はイタリア南部・カプリ島にある海食洞であり、観光名所である。
「青の洞窟」と呼ばれる洞窟は、ここの他にも幾つかが存在する。(→青の洞窟)
カプリ島の周囲の多くは断崖絶壁であり、そこには海食洞が散在している。「青の洞窟」は、そのうちのひとつである。
この洞窟には、洞窟のある入り江から手漕ぎの小船に乗って入って行くことができる。入り口は狭く、半ば水中に埋もれている。船頭は入り口に張られた鎖を引いて小船を洞窟内へと進めるが、その際に乗客は頭と体を船底に沈めることが必要となる。天候や波の状態により、進入不可能である場合も多い。
内側に入ると外からは予想もできない数十メートルの広大な空間が広がり、水中に伸びている穴を通して水面から洞窟全体が紺碧の光を帯びて神秘的な雰囲気を持つ。海面がきれいな青に輝くのは午前中の傾斜角が良く、観光客も集中する。
料金はカプリ島(マリナグランデ)から“20人乗り”の小型船で10ユーロ(日本円にして約1200円)、青の洞窟入場料4ユーロ(日本円にして約500円)、青の洞窟入場ボート料5ユーロ(日本円にして約600円)。ボートの船頭によっては日本人など不慣れな観光客に10ユーロなどという法外なチップを要求するケースもあるが、サービス内容の満足度に応じ1-2ユーロで十分である。
ローマ帝国の皇帝が個人的な浴場として使用していたことが記録に残されている。かつては地上から洞窟へ至る人工的な地下通路があったと考えられている。
2009年8月25日、目の痛みやせきなどの症状が船頭並びに観光客が訴え、刺激臭及び白い泡が発生するなどがあったことから、衛生当局は有害物質の投棄が疑われるとして、観光を含めた同地への立ち入りを禁止し、水質検査を行った。8月17日に、同地近くに下水を処理せずタンク車からゴムホースを用い流したとし、下水処理会社社員2名が環境保護に関する法律違反で逮捕された事件があり、その関係や類似を疑われたが、採取した海水からは、有害物質は発見されなかったことより8月27日には、立ち入り禁止を解除し観光は再開している。尚、白い泡及び刺激臭の原因は判明していない。
アンデルセンの出世作となった恋愛小説『即興詩人』では、この洞窟が重要な舞台となっている。森鴎外の翻訳では、「琅玕洞」(ろうかんどう、琅玕=翡翠のこと)と訳された。