ロンドン塔

ロンドン塔Tower of London)はイギリスの首都ロンドンを流れるテムズ川の岸辺、イースト・エンドに築かれた中世の城塞である。正式には「女王陛下の宮殿にして要塞」(Her Majesty's Royal Palace and Fortress)と呼ばれるように現在も儀礼的な武器などの保管庫、礼拝所などとして使用されている。またその景観からホワイト・タワーとも呼ばれる。世界最大級のカット・ダイヤモンド、カリナンはここで保管されている。

沿革

1066年にイングランドを征服したウィリアム1世が1078年にロンドンを外敵から守るために堅固な要塞の建設を命じ、本体は約20年で完成した。その後、リチャード1世が城壁の周囲の濠の建設を始め、ヘンリー3世が完成した。長い歴史の間に国王が居住する宮殿としても使われ、身分の高い政治犯を幽閉、処刑する監獄としても使用された。エリザベス1世は即位前に一時メアリー1世によってここに収監されたことがある。最後にロンドン塔に収監されたのは第二次世界大戦中、イギリスに飛来して逮捕されたナチス・ドイツの高官ルドルフ・ヘスである。また、ロンドン塔に最後に居住した王はジェームズ1世とされる。

現在も英国王室が使用している宮殿であるが、ロンドン観光の目玉になるほど観光客も多く、内部にある建物の幾つかは、世界最大のダイヤモンド「偉大なアフリカの星」など様々な歴史的展示物を陳列して、見学できるようになっている。1988年にはユネスコ世界文化遺産にも登録されている。すぐ近くには、世界的にも有名な跳ね橋であるタワーブリッジがある。

観光の場合は、3月~10月の日曜を除く日なら9時から18時まで、11月から翌2月までは9時から17時までで、日曜日は10時からの入場可能で、入場料は大人15.00ポンド、学生12.00ポンド等となっている(2006年9月現在・最新の入場料は公式サイトで)

ロンドン塔のカラス

ロンドン塔には、世界最大級の大きさであるワタリガラス(')が一定数飼育されている。ワタリガラスは大型で雑食の鳥であるが、1666年に発生したロンドンの大火事で出た大量の焼死者の腐肉を餌に大いに増えたといわれている。当然、ロンドン塔にも多数住み着いたが、チャールズ2世が駆除を考えていた所、占い師に「カラスがいなくなるとロンドン塔が崩れ、ロンドン塔を失った英国が滅びる」と予言され、それ以来、ロンドン塔では、一定数のワタリガラスを飼育する風習が始まったとされる。

またイギリス人に人気のあるアーサー王伝説において、アーサー王が魔法でワタリガラスに姿を変えられてしまったという伝説もあり、ワタリガラスを殺す事は、アーサー王への反逆行為とも言われ、古くから不吉な事が起こるとされている。

現在でも、ロンドン塔のカラスは「レイヴンマスター」と呼ばれる役職の王国衛士によって養われており、風きり羽を切られて逃げないようにされたものが、豚ガラを餌に半ば放し飼いで飼育されていたが、近年では鳥インフルエンザの罹患をおそれて、飼育舎を設置しての飼育に切り替えられた模様である。約25年の寿命を持つワタリガラスであるが、飼育数が一定数を割ると、野生のカラスを捕獲して補充していたが、最近では人工繁殖にも成功している模様である。なおワタリガラスは気性が荒いため、みだりに観光客がちょっかいを出すと襲われるケースもあるという警告がなされている。

ロンドン塔を構成する主な塔櫓・建物など

  • ホワイト・タワー:ロンドン塔の天守閣にあたる建物。
  • ミドル・タワー
  • ベル・タワー
  • トレイターズ・ゲイト(叛逆者の門)
  • セント・トーマス・タワー
  • ソルト・タワー
  • ブラッディー・タワー
  • クイーンズ・ハウス
  • ビーチャム・タワー
  • セント・ピーター・アド・ヴインキュラ礼拝堂
  • ウォータールー兵舎

ロンドン塔で処刑された人々

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ロンドン塔は監獄でもあったから、ここで処刑もしばしば行われた。以下はそのうち歴史に名を残す著名な人々のリストである。

1471年 ヘンリー6世 ランカスター朝最後の王。薔薇戦争でヨーク朝のエドワード4世に捕らえられ、暗殺される。 1483年 エドワード5世とヨーク公リチャード 共にエドワード4世の王子。父の死後ロンドン塔に連れ込まれたまま行方不明となった。王位を簒奪したリチャード3世が殺害したとされる。1624年に二人の子供の骸骨が発見されている。 1535年 トマス・モア ヘンリー8世に反抗してタワー・ヒルで処刑された。 1536年 アン・ブーリン ヘンリー8世の2番目の王妃。姦通罪などにより城内のタワー・グリーンで処刑された。アンに着せられた姦通などの罪は濡れ衣であったとされ、ロンドン塔には今でもアン・ブーリンの亡霊が出ると噂される。 1540年 トマス・クロムウェル ヘンリー8世を支えた宰相。クロムウェルの推挙により4番目の王妃としてイングランドへ輿入れしてきたアン・オブ・クレーヴズをヘンリーが気に入らず(半年で離縁)、クロムウェル自身も王の不興を買い失脚。反逆罪に問われ、タワー・ヒルで処刑された。 1542年 キャサリン・ハワード ヘンリー8世の5番目の王妃。アン・ブーリンと同様に姦通罪に問われ、不貞の手引きをしたとされるロッチフォード子爵未亡人ジェーンと共にタワー・グリーンで処刑された。 1554年 ジェーン・グレイ ヘンリー7世の曾孫。エドワード6世の死後、有力貴族の思惑でイングランド女王に擁立されたが、メアリー1世に敗れ9日間で廃位。タワー・グリーンで処刑された。なお夫ギルフォード・ダドリーも同日タワー・ヒルで処刑された。 1601年 エセックス伯ロバート・デヴルー

エリザベス1世の寵臣。反乱を企てたためタワー・グリーンで処刑された。

世界遺産登録基準

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関連作品

  • 夏目漱石『倫敦塔』

関連項目

  • タワーヒル駅 - 最寄り駅
  • ルドルフ・ヘス - 最後に拘留された人物。ナチ党副総統。

外部リンク

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ヒントとヒント
George X
2016年5月2日
If you are English history fan,you will love the place. A whole day spent here is not enough;See the Crown Jewels,White Tower, Torture Tower.The free Beefeaters tours are really good. Totally a must!
Edwulf
2016年4月25日
A historical place and a must of museum lovers. You should not miss the Crown Jewels exhibit, and the crows at the tower, is not for a rainy day as buildings are not connected.
Turkish Airlines
2015年7月7日
The Tower of London will captivate you with its fascinating past! While you’re here, make sure you don’t leave without seeing the world-famous crown jewels.
Karen
2018年1月6日
The crown jewels are on display here. It's a little overwhelming just how much history is here. I recommend taking a free tour with the yeoman warders, aka beefeaters. They're every hour - love them!
Ryan Waggoner
2017年9月2日
Can't miss attraction in London! Worth fighting the crowds to see this historic and beautiful site. Arrive when the tower opens and head straight for the Crown Jewels to avoid the lines.
Augustus Collection
2014年2月23日
The 900-year-old building is one of the world’s most famous. It is a unique place with a lot of history having previously been a royal palace, a prison and zoo.
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