イロマンゴ島(イロマンゴとう、Erromango Island)は南太平洋、バヌアツのタフェア州最大の島。ニューヘブリディーズ諸島の一つ。日本ではエロマンガ島という名前で呼ばれる事も多い。
島の中心部に標高837mの火山がある小島で、周囲は珊瑚礁に覆われている。面積975km²、人口は1,500名程度。主要な産業は牧畜業・農業で、肉牛を飼う大きな牧場が広がっている。かつては全体が密林に覆われ上質な白檀が取れたが、乱伐によって現在はほとんど森がなくなり、白檀も取れなくなった。
18世紀にはイギリスとフランスの旧共同統治領になっていたが、実質上は無政府状態に近かった。ポリネシア系の住民が大昔から住み付いており最盛期には人口が数千から一万人に達した時期もあった。
しかし、最盛期には人口一万人に達した繁栄した島であったが19世紀から激減することになった。住民は現在でもキリスト教の宣教師を殺した神罰により衰退したと信じられているが、実際の人口激減の理由はヨーロッパ人がもたらした伝染病による大量死、略奪、オーストラリア開拓のための奴隷狩り(ブラックバーディング)のためである。このため、島の社会は崩壊し、キリスト教化された住民の間にポリネシアの伝統文化などはほとんど残っていない。
日本では、「エロマンガ島」という表記がエロマンガに通じることから、珍地名として話題にされることがあったが、現在ではもっぱらより原語に近い「イロマンゴ島」という表記が採用されている。
「エロマンガ島は潮流の変化によって既に水没した」という都市伝説・噂が一部の日本人に信じられている。これは以前、「伊集院光 深夜の馬鹿力」(TBSラジオ他ネット)の2000年8月14日放送内におけるジングル「島豆知識」によるもの(後に開始された、本当っぽく聞こえる嘘の豆知識を紹介する「ウソチクの泉」コーナーではこのような水没に関する投稿はなかった)。また、あるテレビ番組では「近年の地球温暖化の影響で海面が上昇し、あのエロマンガ島が水没したらしい」という内容が放送されたことがある。
更に近年島名を「エロマンガ島」ではなく「イロマンゴ島」と表記する地図が増え、予備知識の無い人間には地図上からエロマンガ島を探すことが難しくなった事も原因と考えられる。