インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(Indianapolis Motor Speedway)はアメリカ合衆国のインディアナ州スピードウェイ市にあるサーキット。世界3大レースの1つといわれるインディ500マイルが行われることで知られる。1909年に開設された歴史あるサーキットであり、1975年に国家歴史登録財に登録され、1987年に国定歴史建造物に指定された。
インディアナポリス・モーター・スピードウェイは1909年に開設された。当時はコースに何百万個もの煉瓦が敷かれていたため、オーバルコースは通称「ブリックヤード」と呼ばれ、同地で開催されるNASCAR・スプリントカップシリーズのレース名にも使われている。1961年のインディ500後に路面を全面改修。しかし、当時のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ (IMS) の社長であったトニー・ハルマン(現社長のトニー・ジョージの父親)の強い希望により、スタート/フィニッシュラインの1ヤード(約90センチ)のみ歴史遺産として煉瓦敷きのまま残された(厳密には煉瓦の上にコーティングが施され、煉瓦と通常の路面の継ぎ目でマシンが弾んだりしないようになっている)。
インディ500ではオーバルコースのみを使用するが、F1アメリカGPではオーバルコースの一部に加えて、F1開催のためにオーバルの内側に新設されたロードコース(インフィールド・セクションともいわれる)を使用する。なおMotoGPインディアナポリスGP開催にあたりインフィールド・セクションのレイアウトを一部変更し、オーバルコースのターン1部分にもシケイン状の複合カーブが新設された。
コントロールタワーは日本の寺院に見られる五重塔を模した作りとなっているのが特徴である。
2000年、オーバル内にインフィールドセクションを設け、1991年にフェニックスで開催されて以来、9年ぶりにF1アメリカGPが開催された。F1はオーバルのターン1を最終コーナーとする右回り(オーバルコースとは逆回り)であった。MotoGPではオーバルコースと同じ左回りで開催される。F1アメリカGPは2007年をもって終了となった。2008年よりMotoGPインディアナポリスGPが開催されている。
F1においてはコース全体の半分を占める超高速オーバル区間に低速コーナー~高速セクションがバランスよく配置されたインフィールドエリアを組み合わせた1周4.192kmの高速テクニカルコースであった。当時のサーキットの中ではエンジン全開時間が20秒近く、エンジンに非常に厳しいサーキットである。ストレートをシケインで区切ったモンツァとはまたタイプの違う超高速サーキットである。一時期はシーズン後半のため、モンツァと高速サーキットの連戦となっていた。
オーバルの入り口、ダブルヘアピンでマシンの後ろに付けばオーバルで容易にオーバーテイクが可能であるため、当時のサーキットの中ではオーバーテイクがかなりやりやすいサーキットであった。その反面、スタート時はコース幅の広く、非常に長いストレートから一気にコース幅が狭くなるインフィールド入り口の第1コーナーで多重クラッシュが起こりやすいレイアウトであった。
2004年にはB・A・Rホンダの佐藤琢磨が3位入賞し、1990年日本GPでの鈴木亜久里以来、日本人としては2人目の表彰台に上がった。2005年のレースではミシュランタイヤが装着されたトヨタのラルフ・シューマッハのマシンが、フリー走行時に最終コーナーでバーストによりスピン、クラッシュした。それを受けて、当該コーナーへのシケインの設置や制限速度化等の善後策も検討されたが、安全性を保証できないとするミシュランの通達により、結局同社のタイヤを装着したマクラーレンやルノーなど7チームがフォーメーションラップを走ったのみで棄権した為、フェラーリなどのブリヂストンタイヤ装着の3チーム6台のみが出場する「異常事態」となり、現地の観客などから訴訟を起こされるなどの事態となった。同年に最速を誇っていたフェルナンド・アロンソやキミ・ライコネンが欠場したことにより、ミハエル・シューマッハの対戦相手が古巣のジョーダンとミナルディだけの弱小チームになり、シーズンで唯一の優勝になったものの、表彰台には笑顔がなかった。
年 | グランプリ | 勝者 | 所属チーム |
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2000 | USA | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ |
2001 | USA | ミカ・ハッキネン | マクラーレン |
2002 | USA | ルーベンス・バリチェロ | フェラーリ |
2003 | USA | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ |
2004 | USA | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ |
2005 | USA | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ |
2006 | USA | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ |
2007 | USA | ルイス・ハミルトン | マクラーレン |
バンク角が9度しかなく、さらにストレートが0度と全体的にバンクが浅いのがこのトラックを難しくしている。長方形の角に丸みを付けたような特殊な形であり、ターン部分は90度を4回曲がるというイメージが強く、2/4ターンは1/3ターンをブレーキングしながら入った後、一度加速して再び減速して入るという形である。
このようなコースレイアウトのためラインに自由度が少なく、ダウンフォースが強く車重が軽いため、NASCARに比べラインに自由度があるインディーカーでもサイドバイサイドのままターンに進入することは難しく、一列棒状の落ち着いた展開で進むことが多い。
NASCARではさらにパワーで押し切れてしまうため、ドラフティングによる空気抵抗の削減より乱流による不安定さの方が強く出てしまい、ドラフティングに付いても先行車との差を縮めきれない事が多く、さらに一列棒状で先行車有利なトラックである。しかしローバンクでタイヤへの負担が大きいため、ポジションを上げる2タイヤチェンジが使いにくく、同時に道幅が広くクラッシュによるコーションも少ないため、ミスをした方が負けというレースになりやすい。
F1でも問題になったが、浅いバンクでハンドルを多く切らなければいけないことや、減速がコースで4回必要な事もあり、他のカテゴリーでもフロントタイヤにかかる入力が非常に大きい。2008年のNASCARで燃費的に30~35周ごとのピットが予定されていたが、タイヤが20周ほどしかもたなかったため、各ドライバーはそこでピットインを強いられた。