クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク(英: Queen Elizabeth II Olympic Park)は、ロンドンのニューアム特別区ストラトフォードにある再開発地域「ストラトフォード・シティ」に隣接しているスポーツ複合施設で、2012年のロンドンオリンピックおよびロンドンパラリンピックで使用された。敷地内には選手村のほか、オリンピック・スタジアムやアクアティクス・センターを初めとする競技施設が複数入っていた。五輪閉幕後にクイーン・エリザベス・オリンピック・パークとして改称された。これは2012年に女王エリザベス2世が即位60年となることを記念して付けられたものである。
オリンピック・パークの敷地はイースト・ロンドンのストラトフォード(ニューアム区)、ボウ(タワーハムレッツ区)、レイトン(ウォルサム・フォレスト区)およびホマートン(ハックニー区)の4つのロンドン特別区の区域にまたがっている。
リー川に沿った広大な敷地(ロウアー・リー・バレー)は、かつてはストラトフォード駅に隣接して鉄道工場や貨物駅や操車場が広がっていた地域であり、長年の工業活動で蓄積された土壌汚染が深刻で、廃タイヤなどの廃棄物の山がある見捨てられた場所であった。環境が劣悪なこの地域の緑地化や公園化は、労働者や移民の住宅が多く工業地帯であったロンドン東部の環境や社会に肯定的な作用をもたらすことが期待された。ロイヤルメールはオリンピック・パークとストラトフォード・シティに対して、"E20"のポストコードを割り当てている。このコードは以前、BBCの連続テレビドラマ「イーストエンダーズ」の番組中でのみ使用され、架空の地域であるウォルフォードに付されていた番号である。
公園付近には、4つの駅が存在する。
オリンピック・パークは (EDAWとBuro Happoldから成る) EDAWコンソーシアムによって設計され、アラップおよびWSアトキンスと協働している。これらはハーグレイブス・アソシエイツとLDAデザインの共同による設計を引き継いでいる。
ロンドン・オリンピックおよびパラリンピックの招致活動において、当初はオリンピック・パーク内に4つの競技場を建設することが提案されていたが、2006年に公表されたマスタープランでは、バレーボール会場をアールズ・コート・エキシビション・センターに移すことで、これを3つに削減することとなった。フェンシング競技場の新設も中止され、エクセル展覧会センターで開催される見込みとなった。残りの屋内競技施設はバスケットボール・アリーナとカッパー・ボックスの2つとなった。最終設計案はオリンピック実行委員会 (Olympic Delivery Authority) によって承認された。
建設が本格的に始まると、作業を円滑に進めるために、建設予定地周辺に設置されていた高さ65メートルの送電用鉄塔52基が撤去され、オリンピック・パークへの電力は地下のトンネルを通して供給されるようになった。また汚染された大量の土壌の浄化作業と外来種の植物の駆除が行われ、浄化された土壌にイギリス在来種の動植物が移植され、産業化前の植生の再現が試みられた。
この他、公園内には選手村が入居していた。
オリンピック・パークはロンドン五輪閉幕後も使用予定が数多くあった。以下にその一例を示す。
2011年8月2日、跡地は(北東から反時計回りに)コブハム・マナー (Chobham Manor)、イースト・ウィック (East Wick)、スイートウォーター (Sweetwater)、プディング・ミル (Pudding Mill)、マーシュゲート・ワーフ (Marshgate Wharf)の5つの新しいコミュニティに占有されることが発表された。これらの名前にはすべて歴史的な背景が存在する。
2011年2月27日、2014年に公園内にオリンピック・ミュージアムを開館する予定であることが発表された。また2012年3月には、イングランドは2015年の欧州ホッケー選手権大会(会場:リー・ヴァレー・ホッケー・センター)のホスト国となることが発表された。