ティカルは、グアテマラのペテン低地にあった古典期マヤの大都市である。ティカルの遺跡は1979年に世界遺産の複合遺産に登録された。
熱帯雨林地帯で栄えたマヤの最大の神殿都市がティカルである。マヤ人たちは焼畑農業でトウモロコシをつくって主食にしていた。次々に森林を切り開いていくことで人口を養っていた。
ティカルもともとの名は、「ムトゥプル」、「(ヤシュ)ムタル」といった。378年、テオティワカンの将軍カック・シフ(kak siyaj/「火の誕生」シフ・カック)によって征服され、テオティワカンの王族の少年であるヤシュ・ヌーン・アイン(「最初のカイマンワニ」)が即位し、新王朝が始まった。古典期マヤにおいては、カラクムルとともに二分する巨大な勢力でいくつもの都市を支配下においた。
熱帯雨林の奥にあるティカルでは、底を特殊な粘土で固めた貯水池をたくさんつくり、飲料水をためていた。貯水池までの水路もきちんと整備されていた。
ティカルの中心的な遺跡が「大ジャガーの神殿」である。高さが51メートルあるピラミッド状の建築物で、最上部の神殿入口でジャガーの彫刻が発見された。神殿の前にはたくさんの石碑が立っており、支配者たちの姿が浮き彫りにされたレリーフがある。