ゲーテアヌム

ゲーテアヌム(独:Goetheanum)とは、スイスのバーゼル近郊、ドルナッハに存在する、ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーが設計した建築物である。

普遍アントロポゾフィー協会本部であり、その活動の中核である精神科学自由大学の本部も置かれている。

ドイツの文豪、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテにちなんで名付けられた。

現在のゲーテアヌムは、1922年に竣工したものが焼失したあとに、同じ場所に再建されたものであるが、外観が大きく異なるため、焼失前のものを「第1ゲーテアヌム」現在のものを「第2ゲーテアヌム」と呼んで区別している。

概要

1500席クラスのホールを2つもち、ギャラリーや講演会スペース、図書館、書店などがある。

一般的なテーマに焦点を当てたカンファレンスが年数回行われており、また、教師、農民、医師、セラピストなどのための専門家会議も定期的に開催されている。夏に行われる大規模な会合では、オイリュトミー公演や、シュタイナーの遺作『神秘劇』の上演が行われる。

年中無休で営業しており、見学ツアーも一日数回提供されている。

ゲーテアヌム建設計画

1907年に神智学協会がミュンヘンで国際会議を開催したときに、シュタイナーはホールを借り切って特別な表現空間を設けた。空間は深紅の布で張り巡らされ、長手方向の壁には葉の形をした柱頭付きの7本の列柱が並ぶというものであった。

この当時の神智学協会関連の舞台公演および会合は、必ず何ものかの妨害を受けた。このため、彼ら固有の理想とする劇場と会合場所を必要とした。当初はミュンヘン市内に用地を探したが、最終的にはスイスのドルナッハに広大な用地を取得し、第1ゲーテアヌムを中心とする建築物群の建設を開始した。

第1ゲーテアヌム

第1ゲーテアヌムは、1908年から設計が開始され、1913年に定礎され、1920年に、一部が未完成ながらも開館。1922年に完成した。シュタイナー自らが外装・内装の設計を手がけた。完成後はわずか2年間しか実用には供されなかったが、この間、オイリュトミー公演用劇場として用いられた。

彼のこの建築への思考形成はまず内装から始められ、内部空間の造形、外観の造形という順で進められた。

この建物は、2連キューポラ構成を中心としており、円筒状の建物が二つ繋がった所に、長方形の建物が交差する形状をしていた。

2連キューポラのうち、大きな一方には900席の客席が置かれ、もう一方は舞台として用いられた。客席後方にはパイプオルガンと聖歌隊席が設置されていた。

二つのドーム天井を持つ構造で、天井にはシンボリックで色彩的な天井画が描かれており、壁面には大きなステンドグラスを持っていた。

建物の最高点は地上34メートル、ホール最深部から天井までの高さは26メートル、もっとも長い柱は14メートルであった。

1922年12月31日、この第1ゲーテアヌムは何ものかによって放火され、焼失した。

現在は、ミュンヘンのピナコテーク・デア・モデルネに模型が置かれている。

第2ゲーテアヌム

第1ゲーテアヌム焼失後、シュタイナーはすぐに第2ゲーテアヌムの構想にとりかかり、粘土を用いて模型を製作した。設計図についてはプロの建築家の協力を得ながら、外観の設計を完了した。しかし、内装の設計を行う事なく、1925年、着工直後にシュタイナーは死去した。内装の設計を行わなかった理由の一つとして、「第1ゲーテアヌムの再現でよい」という考えを持っていたからではないかと考えられる。

1926年に上棟式を行い、1928年には未完成ながら開館したが、1929年に、完成にはほど遠い状態で第2ゲーテアヌムは一旦閉鎖され、その後、長期間をかけて建設を完了した。

第2ゲーテアヌムは、マイケル・ブレナンによって「表現主義芸術の真の傑作」と讃えられ、また、スイスの国定史跡として指定されている。

中央講堂(ホール)は約1000席の客席を持ち、第1ゲーテアヌム同様天井画が描かれ、側面にはステンドグラスがはめ込まれ、客席後方にはパイプオルガンが設置されている。1950年代半ばから、1990年代半ばにかけて、中央講堂の再設計が行われた。

なお、これらの天井画やステンドグラスなどは、第1ゲーテアヌムに設置されていたものの忠実な再現である。

第1ゲーテアヌムに置かれていた、シュタイナーとエディス・マリオンの共作による、9メートルの高さの木製彫刻『人類の代表者』も、専用ギャラリーに展示されている。

建築の特徴

シュタイナーの建築は、伝統的な建築の制約からの解放によって特徴づけられる。第1ゲーテアヌムでは、丸みを帯びた形を構築するため船大工の協力を得た。第2ゲーテアヌムでは、彫刻的な形状を再現するためにコンクリートを積極的に用いた。当時、コンクリートの徹底した使用は画期的であった。

両方のゲーテアヌムに置いて、シュタイナーは霊的に表現力のある形を作成するよう務めた。いずれのゲーテアヌムも、西側から東側へと向かう方向性を内装や人の動線に持たせている。

ゲーテアヌムを訪問し、絶賛した近代の建築家として、フランク・ロイド・ライト、ハンス・シャロンらがいる。

出典

  • 『シュタイナーと建築』ペーター・フェルガー、ミケ・シュート、ヨースト・エルファープ共著、中村静夫訳、集文社。

脚注

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外部リンク

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ヒントとヒント
Lada ????
2012年6月10日
Designed by Rudolf Steiner around 1908, named after Johann Wolfgang von Goethe. Steiner designed 13 other built structures, principally residences in and around Dornach. Take a tour.
Bijan Kafi
2015年4月27日
Great place – there's free Internet available in the silent zone to the left of the West entrance.
Rebecca Ren
2014年6月11日
Most beautiful place in the world!
Bijan Kafi
2012年10月2日
The cafeteria accepts Swiss Francs and Euros, but the latter only in notes.
Nao Tomita
2015年5月15日
第2ゲーテヌアム:ルドルフ・シュタイナー(1928)。神智学活動の中心として、ドイツ人神秘思想家ルドルフ・シュタイナーの設計で建設された。1代目は放火により焼失、このコンクリートの巨大な塊は2代目。当時はまだ珍しかったコンクリートを大量に用い、その昆虫のような彫刻的形状を可能にした。
Rosanna Galvani
2012年7月21日
Maestosa architettura progettata da Rudolph Steiner per la sede della Società Antroposofica. Intitolato a Goethe.
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