エンジェル・オブ・ザ・ノース(英名:Angel of the North)は、イギリスの彫刻家アントニー・ゴームリーによって製作された、「北の天使」を意味する彫刻作品。イングランド北東部、タインアンドウィア州ゲーツヘッド区に建つ。
その名が示している通り、同作品は20メートル(66フィート)の高さで立ち、その両翼部分が54メートル(178フィート)の幅を誇る鋼鉄製の天使をモチーフとした彫刻で、横幅はアメリカ合衆国にある自由の女神像の高さを超えている。両翼自体は並行ではなく、前方に3.5度の角度で斜めに曲がっており、作者であるゴームリーは「抱擁の感じ」を創り出すためだったと述べている。作品はA1道からタインサイドを見渡す丘に立ち、また東海岸本線の鉄道線路沿いに位置する。
エンジェル・オブ・ザ・ノース建設の計画は1994年に開始され、総工費は100万ポンドと見積もられた。計画にかかる大部分の資金は、イギリス国民宝くじより投資された。
風雨に晒される野外の場所であるため、彫刻は毎時160キロメートル(毎時100マイル)を超える風速に持ちこたえられるものでなくてはならなかった。このため、165トン(150大トン)ものコンクリートが、彫刻を地下20メートルにある岩盤へ固定させる基礎部分に使用された。
彫刻そのものは、100大トンの重量のある胴体部分、各55トン(50大トン)ある2つの翼部分の3つの部分にあらかじめ分割して製作され、建設予定地まで陸路で運搬された。その重量のため、本体部は製作していた場所であるダラム州のハートリプールから、A19道を上って予定地まで移送するのに7時間かかった。
作品の建設が終了したのは、1998年2月だった。エンジェル・オブ・ザ・ノースが完成した当初、近隣一帯やイギリス新聞各紙から論争が呼び起こされたが、現在ではイギリス北東の名所の一つとしてみなされている。