ブルジュ・ハリファ(アラビア語:برج خليفة、欧字転写:Burj Khalifa)は、アラブ首長国連邦最大の都市ドバイにある、世界一高い超高層ビルである。日本語ではブルジュ・ハリーファ、ブルジュ・カリファとも表記される。建設の段階では、ブルジュ・ドバイ(برج دبي、Burj Dubai)の名で知られていた。
全高(尖塔高)828.0m(比較資料:1 E2 m)、軒高(ビル本体の屋根の地上高)636.0m(比較資料:同上)。168階建て。
「برج (burj、ブルジュ)」はアラビア語で「塔」「タワー」を意味し、「برج خليفة (Burj Khalifa、ブルジュ・ハリファ)」の語義は「ハリファ塔」「ハリファ・タワー」である。2010年1月4日の営業開始を機に、正式名称が「ドバイ塔」を意味する「برج دبي (Burj Dubai、ブルジュ・ドバイ)」から、アラブ首長国連邦第2代大統領で連邦内最大の国アブダビ首長国のアミール(首長)「خليفة بن زايد آل نهيان (Khalīfa<ins> bin Zāyid Āl Nuhayyān</span>、ハリーファ・ビン=ザーイド・アール=ナヒヤーン)」にちなんだ「برج خليفة (Burj Khalifa、ブルジュ・ハリファ)」に変更された。2009年11月に発生したドバイ・ショックの影響による資金難から完成が危ぶまれるなか、同氏の尽力が大きかったことが理由とされている。
1 - 8階はアルマーニホテル、9 - 16階はアルマーニの高級マンション、38 - 39階はアルマーニホテルのスイートルーム。その他は108階までは高級マンション、111 - 154階は主にオフィスが占める。124階に展望台がある。内装はジョルジオ・アルマーニが担当。エレベーターは世界最速の秒速18mのものが設置されている。 デザインは、この地域に特有でイスラーム建築においても具象化されたという砂漠の花、ヒメノカリス(en)をイメージしている。
風の影響を抑えるためにビルは螺旋状にし、風を上方に逃がすデザインとなっている。
企画はドバイの不動産開発会社のエマール社、設計はスキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリルのエイドリアン・スミス()、建設は、韓国のサムスン物産、ベルギー最大の建設会社のBesix()、アラブ首長国連邦の超高層ビルを得意とするアラブテック社()の共同。設備はアラブ首長国連邦のETA社、インドのVoltas社、日本の日立プラントテクノロジーが担当している。
商業施設、居住施設、娯楽施設などを含む大規模な複合施設の核として位置づけられており、全ての計画を換算すると80億ドルに上ると見られている。経済効果は少なくとも200億ドルを超えると見込まれ、アラブ首長国連邦で推進されている石油中心経済からの脱却や、観光戦略に関する政府の意図が窺える。
ドバイの幹線シェイク・ザーイド・ロード沿いに、ダウンタウン・ブルジュ・ハリファ()と呼ばれる超高層ビル街が建設されている。その中心がこのブルジュ・ハリファである。ブルジュ・ハリファの周囲には、世界最大のショッピングモールであるドバイ・モールや、既に完成しているアドレス・ダウンタウン・ブルジュ・ドバイ(棟高306m、63階建て)など超高層ビルが何十棟も建設中である。
また、2009年には、ダウンタウン・ブルジュ・ハリファ地区のブルジュ・ハリファの正面に世界最大の噴水、ドバイ・ファウンテンが設置された。幅275mの壮大な噴水で、垂直噴水能力は高さ150mに達する(アメリカはラスベガスにあるベラージオの噴水()の140mを上回る。なお、世界一はアメリカ、イリノイ州のイーストセントルイスにあるゲートウェイ・ガイザー()の192m)。
従来は異なるカテゴリでそれぞれ別の建造物が世界一であったが、ブルジュ・ハリファはことごとく記録を塗り替え、全てのカテゴリで世界一である。
1. 世界一高い超高層ビル
2007年7月21日の時点で台北101を抜き、世界一の高さの超高層ビルとなっている。2013年完成予定の1 ワールドトレードセンター(ニューヨーク)、目下建設凍結中のシカゴ・スパイア(シカゴ)などの超高層ビルは、発表当初世界一の高さの記録を更新すると言われたが、ブルジュ・ハリファはそれらの記録を先行して塗り替えた。2. 世界一高い自立型建造物
世界一高い自立型の建造物はトロントのテレビ塔CNタワー(尖塔高553.33m)であったが、ブルジュ・ハリファは2007年9月24日にこれをも超える564.9mに達した。3. 現存する世界一高い建造物
4. 史上最も高い建造物
2008年5月19日には、1991年に倒壊した尖塔高646.38mのワルシャワ・ラジオ塔を上回る649.7mに達し、歴史上最も高い建造物となった。2010年時点で、クウェートの首都クウェートの隣で進行中の人工副都心マディナ・アル=ハリール地区に高さ1,001mのハイパービルディングである「ブルジュ・ムバラク・アル=カビール()」(2016年竣工予定)が計画されている。また、ブルジュ・ハリファと同じアラブ首長国連邦のドバイでも、ナキールが高さ1,400mの「ナキール・タワー」の建設に着手、さらに高さ2,400mの「ドバイ・シティ・タワー」の建設も予定されている。他にも、サウジアラビアのジッダでは高さ1,600mの「キングダム・タワー」の建設計画があり、バーレーンの首都マナーマでも高さ1,022mの「ムルジャン・タワー」の計画が浮上している。
このように、ブルジュ・ハリファを超える高さの超高層ビルの建設計画が中東で次々と明らかになる一方で、ナキール・タワーの建設計画が1年間延期になるなど、2007年に始まった世界金融危機(世界同時不況)の影響も顕在化しており、ブルジュ・ハリファがいつまで高さ世界一の記録を保持し続けるかと併せて注目されている。