地上66階建、290メートル(952フィート)。竣工は超高層ビルの高さ競争最盛期である1932年。当時最も人気の高かった、ゴシック様式をモチーフとし、尖塔状の頭頂部を持つという意匠を採用している。1970年、世界貿易センタービルが完成するまでは、マンハッタンダウンタウンで最も高い建築物であり、2001年のアメリカ同時多発テロ事件にて、その座を取り戻すこととなった。現在、エンパイアステートビル、クライスラービルなどに次いでニューヨークで5番目に高い建築物、アメリカで14番目に高い建築物となっている。
呼称としては、「アメリカン・インターナショナル(American International)」とされることが多い。以前はシティーズ・サービス・カンパニー(Cities Service Company、現シットゴー)の所有であったので、「シティーズ・サービス・ビル(Cities Service Building)」と呼ばれていた。シティーズ・サービスは、本社をオクラホマ州タルサに移転する際、当ビルをAIGに売却。現在はAIGの所有であり、同社の世界本社として使用されているが、シティーズ・サービスもテナントとして事務所を置いている。
ライムストーンで覆われたこのビルにおいて、最も目を引く特徴は、雪がかぶったように見える、その頭頂部である。66階にあるガラスの展望台からはダウンタウンが一望できるが、現在、AIGの従業員以外の入場はできなくなっている。
当ビルでは竣工当初、二つの階に同時にアクセスできる、二階建エレベータを採用していた。小さな建築面積の中、エレベータシャフトの本数を削減しながらも、十分な垂直輸送量を確保するためであったが、評判は芳しくなく、間もなく撤去された。ところがシティーズ・サービスは1970年代に同じアイディアを再び採用している。