鳥羽水族館

鳥羽水族館(とばすいぞくかん、TOBA AQUARIUM)は、三重県鳥羽市に本拠地を置く、日本屈指の規模を誇る水族館である。

2015年(平成27年)2月時点の展示生物は約1,200種で、日本国内では最大である。

自然の環境を再現したゾーンが12あり、約1200種類30,000点もの海や川の生きものが飼育・展示されている。通路は観覧順序を無くした自由通路となっており、通路全長は約1.5kmである。2013年(平成25年)の入場者数は947,753人である。入館者の8割を大人が占めるという特徴を有し、「質実剛健な水族館」と評される。

1955年(昭和30年)に開館した私営の水族館である。三重県総合博物館とは密接な協力関係にある。

歴史

開館の契機となったのは、ミキモト真珠島を訪れる観光客が船で真珠島に渡る際、対岸の丸幸水産の生け簀が見え、帰りにそれを見学に来たことによる。これを受けて1955年(昭和30年)5月15日に合資会社丸幸商店が日本で26番目の水族館としてオープンさせた。当時の入場料は20円(小人は半額)で専属の職員は5名だったが、丸幸水産の社員も運営に駆り出されたという。最初の水族館は200坪の池を4つに区切り、ペンギン・アシカ・タイ・ハマチなどを放流した「手作りの水族館」で、ガイドがいることを売りにしていた。

1956年(昭和31年)には株式会社鳥羽水族館となった。1958年(昭和33年)1月31日に、博物館法上の私立博物館に指定された。

当初は現在地より西寄りにあったが、手狭になったため、神鋼電機旧鳥羽工場用地だった現在地を譲り受け1990年(平成2年)7月2日に第1期部分が竣工し移転した。大成建設が設計・監理し、1994年(平成6年)4月10日に全館が開館した。1996年(平成8年)4月1日には公式サイトを立ち上げ、ネット通販も開始した。

オープン以後、多くの家族連れらが訪れ、通算6000万人を超える全国第2位の入館者数を誇っている(1位は大阪府大阪市海遊館)。2009年(平成21年)8月3日には日本初となる入館者数累計5500万人を達成。開館55周年にあたる2010年(平成22年)3月8日には5555万5555人に達し、開館60周年にあたる2015年(平成27年)4月2日には6000万人に達した。

絶滅の危機にある希少海洋生物の保護・育成にも力を入れており、スナメリの赤ちゃんや日本初のラッコ2世の誕生、ジュゴン飼育の世界記録11,475日(31年5か月)、オウムガイ飼育の世界記録も保持している。世界記録を更新していたオスのジュゴン・じゅんいちは2011年(平成23年)2月10日に推定33歳で亡くなった。

創設者で元館長の中村幸昭は現在、名誉館長。中村は、渋沢敬三から「よい水族館に育て、利益が上がったら学術研究、社会教育に還元しなさい」と言われ、この言葉を胸に刻み上述の通り実現している。

歴代館長

館長 在任期間 備考
1 中村幸昭 1955年5月15日-2005年8月27日 創設者、名誉館長
2 古田正美 2005年8月27日-2013年8月24日 スナメリ研究の第一人者
3 仲野千里 2013年8月25日-現在 創設者の孫

館内と主な動物

パフォーマンススタジアム  人気のアシカ達のショーを見せてくれる。 海獣の王国  12m×13.5m×4.3m(水量約650t)のプールを本物そっくりの岩で覆い、鰭脚類が多く生息する、チリの海岸を再現している。トド、ゴマフアザラシ、ハイイロアザラシを展示。1日2回「お食事タイム」を行う。 古代の海  カブトガニやオウムガイ、オーストラリアハイギョやチョウザメ、アリゲーターガーといった古代魚、さらにシロワニなどのサメやエイなどいわゆる「生きている化石」を展示。シーラカンスの映像展示もある。 コーラルリーフ・ダイビング  サンゴ礁を再現し、ナポレオンフィッシュなどの熱帯魚や、ウミガメ、サンゴを展示。 伊勢志摩の海・日本の海  スナメリやカニ・ウツボなど、日本近海や伊勢湾に生息する生き物を公開。 ジャングルワールド  アフリカマナティやピラルクー、デンキウナギ、ピラニア、カピバラなど、アマゾン川流域などの熱帯雨林に住む生き物を展示している。アフリカマナティーはオスのかなたとメスのはるか・みらいの3頭いたが、2014年6月にはるかが死亡したため、以降は2頭である。 奇跡の森  熱帯雨林の湿地帯や池のほとり、川の岸辺に生息するワニガメやミズヘビ、ミシシッピワニなどの爬虫類、ベルツノガエルやヤドクガエルなどの両生類、カブトムシやクワガタムシなどの昆虫類を展示している。水族館には珍しくスナドリネコを展示している。元々森の水辺という名前だったが、2015年3月21日に「奇跡の森」としてリニューアルオープン。 人魚の海  日本で唯一ジュゴンを展示。ジュゴンのセレナは1987年にフィリピン政府から贈られた。アオウミガメの「カメ吉」も展示している。 極地の海  厳しい極寒の世界に生きるラッコ、イロワケイルカ、バイカルアザラシ、クリオネを展示。 日本の川  大きな滝を再現し、ヤマメなど日本の河川に生息する魚を展示。また、マングローブ帯の水槽など亜熱帯の水辺コーナーもありヤシガニなどを展示している。 水の回廊  モモイロペリカン、フンボルトペンギン、コツメカワウソ、セイウチ、アメリカビーバーを展示。1日2回「セイウチパフォーマンス笑(ショー)」を開催する。 特別展示室  ミズクラゲ、アカクラゲなどのクラゲ類やウィーディーシードラゴン、チンアナゴなど珍しい生物を展示している。 ザリガニコーナー  アメリカザリガニ、ヤビー、マロンロブスター、ニホンザリガニなど常時、数種類のザリガニを展示。 へんな生きもの研究所  2013年7月13日オープン。ダイオウグソクムシ、カエルアンコウ、ウミサボテンなど、変わった生態や形態の生き物を展示。 シェルズコレクション  世界中から集められた貝殻13,000種の中から常時2,000点を展示する。

ダイオウグソクムシ

鳥羽水族館で2007年9月から飼育されているダイオウグソクムシの1個体 (No.1、愛称「1号たん」) は、2009年1月2日に餌を食べて以来、月1度の餌やりにも反応せず、2014年1月に絶食から6年目に達し話題となった。もともと飢餓に強いダイオウグソクムシであるが、ここまで長い期間絶食した例はなく、ニコニコ生放送では絶食状態のダイオウグソクムシの様子を長時間配信する企画を行い、思わぬ人気を博した。しかし、2014年2月14日午後5時ごろ、飼育員がバレンタインデーに合わせた餌やりに来たところ、「1号たん」の死亡が確認された。死因は不明で、絶食期間は1869日間に及んだ。今後、冷凍保存される予定である。2月18日にはニコニコ生放送で「悲報 ダイオウグソクムシ1号たん追悼番組」が配信され、一時鳥羽水族館のサーバーがダウンするほどのアクセスが集中した。

また、上述の「1号たん」とは別の個体(No.9、愛称「9号たん」)が2013年6月3日に死亡した際も同年6月13日に追悼放送がなされている。

2014年7月にはドワンゴからダイオウグソクムシの巨大模型(幅1.5m×奥行0.85m×高さ1.35m)が寄贈され、ダイオウグソクムシが展示されている「へんな生き物研究所」のコーナーに飾られている。

2016年2月12日、「No.5」が脱皮をする過程を撮影・記録できた。この年の初めから殻が白化して兆候が見られていたが、12日早朝から脱皮が始まっているのを確認し撮影・記録に成功した。脱皮は12日の14時頃には終わった。脱皮の過程を記録出来た映像は少なくとも日本国内では初、世界初の記録の可能性もある。

水中入社式

鳥羽水族館では、大型水槽の中で「水中入社式」と呼ばれる入社式を毎年開催している。水族館の先輩職員の発案で始まり、2013年(平成25年)で7回目になる。

水中入社式は、ウェットスーツの上からスーツを着た新入社員(飼育員)が、ボンベを背負い水中メガネと足ひれを装着して水槽に入り、防水加工を施した辞令を受け取り、「初仕事」として水中で水槽のガラスを磨く、というものである。入社式の様子は一般の来館者が見ることができ、新入社員は来館者に向けて水中で挨拶を行う。2013年の新入社員の1人は、式後に「Wikipediaに載っていないような情報を発信していきたい」とコメントした。

その他

  • NHKの「みんなのうた」で1986年(昭和61年)頃に放送されていた曲『いたずラッコ』のバックで流れているラッコの実写映像の撮影地は、ここ鳥羽水族館である。
  • 入り口では日本語のほかに、中国語、韓国語、英語のパンフレットも配布している。台湾語のパンフレットも用意されているが、実際には繁体字版中国語のパンフレットであり、厳密な意味では「台湾語(ビン南語)」ではない。
  • 土曜日・日曜日限定で、水族館の舞台裏を探検する「うら側探検隊」を実施している。
  • 1990年(平成2年)の新館開業に合わせ、水族館前に「ラッコポスト」を設置した。

交通

鉄道  近鉄志摩線中之郷駅から徒歩約5分。特急などが停車しないため、広告などでは鳥羽駅利用とされている。鳥羽駅から約1km(徒歩約10分。鳥羽駅はJR東海参宮線も利用可能)。 船  伊勢湾フェリーで鳥羽港からすぐ。 自家用車  伊勢二見鳥羽ライン鳥羽ICから約3km。500台を収容する有料駐車場が隣接している。 バス  三重交通CANばす「鳥羽水族館」下車。またはかもめバス「鳥羽水族館」下車。

脚注

[]

注釈

出典

参考文献

  • 伊勢志摩国立公園指定50周年記念事業実行委員会 編『伊勢志摩国立公園50年史』伊勢志摩国立公園指定50周年記念事業実行委員会、1997年(平成9年)3月24日、205p.
  • 岩中淳之・上村芳夫・浦谷広己・恵良 宏・岡田 登・奥 義次・西城利夫・藤本利治・間宮忠夫・山中喜久子・和田年弥『図説 伊勢・志摩の歴史<下巻>』郷土出版社、1992年(平成4年)8月15日、155p. ISBN 4-87670-028-1
  • 鳥羽市史編さん室『鳥羽市史 下巻』平成三年三月二十五日、鳥羽市役所、1347pp.
  • 林 一茂"“ジュゴン:鳥羽水族館のじゅんいち死ぬ 寄り添い30年、肩落とす浅野副館長”. 毎日新聞三重版.2011年(平成23年)2月11日.
  • 藤岡 薫(1974年(昭和49年))"研究調査に重点の三重県立博物館"季刊自然科学と博物館(科学博物館後援会).41:156.
  • 『いちばん楽しい水族館の歩き方』タツミムック、辰巳出版、2012年11月20日、111p. ISBN 978-4-7778-1064-2
  • 『見て、さわって、癒される水族館ぴあ』ぴあMOOK、ぴあ株式会社、2013年4月10日、130p. ISBN 978-4-8356-2182-1

関連項目

  • 中村元 (水族館プロデューサー)
  • 日本の水族館
  • 三重県の観光地

外部リンク

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ヒントとヒント
Wenkai Wang
2016年9月17日
A compact aquarium offering animal performances of sea lion, walrus, and penguin.
Adelino Nakano
2018年6月28日
A lot of varieties of species but seems very small space for them. The shows are very weak...
paipoi
2015年2月12日
2015/1/31テレビ愛知「探Q!Aトリップ」鳥羽:三重県鳥羽市、田山涼成訪問。鳥羽が誇る三大世界初、1976年スナメリの人工繁殖。これまでに22頭誕生。国内で唯一ジュゴンが見られ、飼育種数約1,200種は日本一。ラッコにはジャンプさせ、ガラスに張りついた烏賊を取らせて運動不足解消。魚問屋が作った水族館。
pajica
2013年11月3日
セイウチショーは本当に充実してます!お兄さん&お姉さんの軽快なトークで大人も子どももすごく楽しめる内容です。すごく近い距離でのパフォーマンスなのも魅力。ぜひ少し早めに行って、前の方に場所取りすることをお勧めします。
Rue. SATOH
2020年10月18日
スナメリやジュゴンのような可愛い生き物から、「へんな生きもの研究所」に展示された夢に出てきそうなゲテモノまで展示されている種類が豊富。海獣もかなりいます。修学旅行シーズンは食堂が修学旅行生優先になるので、食事は余裕を持って。
禮 @Yokkaichi,Mie
2015年3月25日
時間毎にショーや餌やりを見る事が出来ます。建物の造りが廻りやすくなっていて、空いている所を先に見たり出来るので、人混みが苦手な私でも快適に回れました。
8.8/10
愛媛県民 四, Kenny Enlle そして、27,964より多くの人々がここにいました
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