万里の長城のうちもっとも早く観光地として一般公開された場所である。現在の遺構は明代に建設されたものである。
北京郊外に位置し北京市内と直通する八達嶺高速道路が建設されるなどの高い利便性から、年間を通じて多くの観光客が訪問する。ただし冬季は北京市内より気温が下がり、春は黄砂現象が多く観測され、また7月頃には霧が発生することから温暖で晴天の多い秋季が最も混雑する。
この地区の長城は首都防衛を目的とし、また王朝の威厳を示す目的もあり特に堅牢な建築物となっている。一般に認識されている煉瓦で建築され所々に望楼がある万里の長城は、北京近郊の長城に特有の様式であると言える。当地を含めて観光客に一般公開されている地点は、ほとんどの場所で大規模な修復が実施され、谷の底にある入場口から両側の山に伸びる長城のいずれも途中まで公開されている。
観光用のロープウェイが両側の山の上まで設置されており、これを利用して山上口から入場する観光客も多い。日本の旅行会社やガイドブックは便宜的に北側の長城を「女坂」、南側を「男坂」と称し、現地日本語ガイドもその紹介を用いることがあるが、中国語では特に定まった呼称は使用されていない。勾配の急な北側に観光客が集中する傾向にあり、最高地点の「北八楼」は海抜1015メートルとなっている。
市内からの交通は高速道路を利用してのアクセスが一般的である。観光客は当地と明の十三陵を周遊するツアーバスを利用することが多い。中国人向けの一般的なツアーから、外国人向けの高価なツアーまで運行されている。
また公共交通機関としては北京市北部「徳勝門」から出発する路線バスが運行されている。路線バスには高速道路で直行する「空調豪華快車」(所要約1時間)と、途中頻繁に高速道路から一般道に降りて途中のバス停に停車する「空調車」(所要約1時間半)が存在する。また北京北駅から出発する鉄道(所要約1時間)も1日に6本運行されている。また「八達嶺駅」は長城から徒歩15分の場所に位置している。
現地では長城高部と連絡するロープウェイも2路線設置されているほか、下りのみの小型トロッコのようなカートも敷設されている。
麓に長城博物館があり、長城の入場券を持っている人は提示すれば無料で入場できる。南側の麓には「熊楽園」という施設も運営されている。