八坂神社(やさかじんじゃ)は、京都府京都市東山区祇園町にある神社。
かつての社名から祇園さんの愛称で呼ばれる。7月の祇園祭(祇園会)で知られ、ほかに特殊神事として白朮(をけら)祭がある。旧社格は官幣大社。中世には二十二社の下八社のひとつとされた。
慶応四年(1868年)の神仏分離令(廃仏毀釈運動)により、元々「祇園社」「祇園感神院」と呼ばれていたのが、「八坂神社」と改められた。
八坂神社を総本社とし、素戔嗚尊(スサノオ)を祭神とする神社が、日本全国に約2300社あるとされる。
祭神
明治以降の御祭神は、
- 中間 -- 素戔嗚尊(スサノヲノミコト)
- 東間 -- 櫛稲田姫命(クシ(イ)ナダヒメノミコト)
- 西間 -- 八柱御子神(ヤハシラノミコガミ)
となっているが、明治時代の神仏判然令以前の御祭神は、
- 中の座 -- 牛頭天王(ゴズテンノウ)
- 東の座 -- 沙竭羅竜王(サガラリュウオウ)
- 西の座 -- 頗梨采女(ハリサイニョ(ウネメ))
牛頭天王は仏教の守護神で、日本では素戔嗚尊と同神とされていた。頗梨采女はその妻で、沙竭羅竜王は頗梨采女の父である。牛頭天王は祇園精舎を守護するとされていた。
また、東間には社伝に明確な記述が無い蛇毒気神(ダドクケノカミ)が祭られている。この神はヤマタノオロチが変化したものとも言われているが定かではない。
歴史
の頃の八坂神社]]
社伝によれば、斉明天皇2年(656年)、高句麗より来日した調進副使・伊利之使主(いりしおみ)が、新羅の牛頭山に祀られる素戔嗚尊を山城国愛宕郡八坂郷に祀り、「八坂造」の姓を賜ったのに始まるという。他にも各種の記録がある。
- 貞観18年(876年)に僧・円如が播磨国広峯の牛頭天王の分霊を遷し、その後、藤原基経が精舎を建立して観慶寺(別名
祇園寺)と称した
- 延長4年(926年)、ある修行僧が祇園天神堂を建てた
- 承平4年(934年)に祇園感神院を建てた
創建については諸説あるが、祭神は古くから牛頭天王(およびそれに習合した素戔嗚尊)であったことは確実である。古くからある神社であるが、延喜式神名帳には記されていない。これは神仏習合の色あいが濃く延暦寺の支配を受けていたことから、神社ではなく寺とみなされていたためと見られるが、後の二十二社の一社にはなっており、神社としても見られていたことがわかる。平安時代中期ごろから一帯の産土神として信仰されるようになり、朝廷からも篤い崇敬を受けた。
祇園祭は、貞観11年(869年)に各地で疫病が流行した際に神泉苑で行われた御霊会を起源とするもので、天禄元年(970年)ごろから当社の祭礼として毎年行われるようになった。
祇園社は当初は興福寺の配下であったが、10世紀末に戦争により延暦寺がその末寺とした。1070年には祇園社は鴨川の西岸の広大の地域を「境内」として認められ、朝廷権力からの「不入権」を承認された。
1384年に足利義満は、祇園社を比叡山から独立させた。だが、それで祇園社が幕府配下となったわけではなく、以降、祇園祭は経済的に力をつけていた京の町衆により行われるようになり、現在に至っている。
祭事
施設
本殿
- 中御座(素戔嗚尊)
- 東御座(櫛稲田姫命)
- 西御座(八柱御子神 -- 八島篠見神、五十猛神、大屋比売神、抓津比売神、大年神、宇迦之御魂神、大屋毘古神、須勢理毘売命)
摂社
- 疫神社(蘇民将来)
- 悪王子社(素戔嗚尊の荒魂)
- 冠者殿社(天照大御神との誓約時の素戔嗚尊の御気)
末社
- 北向蛭子社(事代主神)
- 大神宮(天照大神、豊受大神)
- 美御前社(多岐理毘売命、多岐理比売命、市杵島比売命)
- 大国主社(大国主神、事代主神、少彦名命)
- 玉光稲荷社(宇迦之御魂神)
- 日吉社(大山咋神、大物主神)
- 刃物神社(天目一箇神)
- 厳島社(市杵島比売命)
- 太田社(猿田彦命、宇受女命)
- 大年社(大年社、巷社神)
-
十社 --
多賀社(伊邪那岐命)、熊野社(伊邪那美命)、白山社(白山比咩命)、愛宕社(伊邪那美命、火産霊命)、金峰社(金山彦命、磐長比売命)、春日社(天児屋根命、武甕槌神、斎主神、比売神)、香取社(経津主神)、諏訪社(健御名方神)、松尾社(大山咋命)、阿蘇社(健磐龍神、阿蘇都比咩命、速甕玉命)
-
五社 --
八幡社(応神天皇)、竈神社(奥津日子神、奥津比売神)、風神社(天御柱命、国御柱命)、天神社(少彦名命)、水神社(高龗神、罔象女神)
文化財
重要文化財(建造物)
- 楼門 明応6年(1497年)‐西楼門とも称する。本殿の西方、四条通りの突き当たりに建つ。切妻造の楼門(2階建て門)。
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本殿 承応3年(1654年)‐一般の神社では別棟とする本殿と拝殿を1つの入母屋屋根で覆った独特の建築様式になり、「祇園造」と言われる。
- 末社蛭子社社殿 正保3年(1646年)
- 石鳥居 正保3年‐本殿南側の正面入口に立つ。
重要文化財(美術工芸品)
- 木造狛犬
- 太刀 銘豊後国行平作 平安末期の豊後(大分県)の刀工・行平(ゆきひら)の作
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太刀 3口 各銘出羽大掾藤原国路金具御大工躰阿弥 祇園社御太刀 承応三甲午年九月吉日 江戸時代の刀工・出羽大掾国路(でわだいじょうくにみち)の作
- 鉦鼓(長承三年銘)1口 附:鉦鼓(無銘)1口
- 紙本着色祇園社絵図
- 祇園執行日記 9冊 附 祇園社記等 59冊
- 八坂神社文書(2,205通)89巻、40冊、1帖、1通
- 算額 元禄四年(1691年)長谷川鄰完奉納 絵馬堂にて復元額を展示
交通
- 最寄駅:京阪祇園四条駅より東へ5分ほど。
- 駐車場:有料駐車場あり
関連項目
外部リンク