シェレメーチエヴォ国際空港(Международный аэропорт Шереметьевоミジュドゥナロードヌィイ・アエラポールト・シリミェーチエヴァ)は、ロシアの首都・モスクワ市内にある国際空港。乗客数と取り扱い貨物数において、ロシアでドモジェドヴォ空港に次いで2番目に大きい空港である。アエロフロート・ロシア航空のハブ空港でもある。
市内から北北西に約40km離れたところにある。空港の設備、職員の対応、市内へのアクセスなどあらゆる面で評価が低いことで知られるが、新ターミナルのシェレメチェボ3の運用開始により、悪評の改善が期待される。
現在稼動しているターミナルビルは、
の4つである。
全てのターミナルビルは離着陸に使用する滑走路を共有しているが、滑走路北側にあるシェレメチェボ1(およびターミナルC)と南側にあるシェレメチェボ2(およびシェレメチェボ3)との連絡手段についてはほとんど考慮されていない。連絡バスがあるにはあるが定期的に出ているわけではないため、乗り継ぎにあたっては空港敷地を出て一般の道路を使うことが一般的となっている。このような例は世界的にも珍しく、他にはオーストラリアのパース空港、フィリピンのダバオ国際空港、インドのデリー国際空港・ムンバイ国際空港などがある。
1959年8月11日に開港され、1960年6月1日にはベルリンとの間で最初の国際線が就航した。1964年9月3日には現在のシェレメチェボ1が開業。1967年9月12日にはツポレフTu-134による初の旅客定期便がストックホルムへ出発、続いて9月15日にはイリューシンIl-62がモントリオールへ出発した。
そして1980年1月1日、モスクワオリンピック開催にあわせてシェレメチェボ2が国際線ターミナルとして供用を開始した。
モスクワ市内には当空港の他、ドモジェドヴォ空港・ヴヌーコヴォ国際空港などがあるが、2000年以降、設備の整ったドモジェドヴォ空港との競争が激化。日本航空、ルフトハンザドイツ航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空、オーストリア航空、スイスインターナショナルエアラインズといった各国のフラッグ・キャリアが乗り入れ先をドモジェドヴォ空港に変更してしまっている。
シェレメチェボ3(=ターミナルD)が2009年11月に完成し、11月15日より供用が開始された(当初の完成予定は2008年1月)。アエロフロート・ロシア航空と、同社が加盟するスカイチーム加盟各社の専用ターミナルであり、該当するすべてのフライトの移行が2010年2月6日までに完了する予定である。シェレメチェボ2(=ターミナルF)から西に600mほど離れている。
2007年12月にはシェレメチェボ1に隣接して40000m²の広さを持つターミナルCが完成し、供用が開始されている。ビル外壁はアエロフロートのイメージカラーである青とオレンジに塗装され、年間500万人の乗客を処理する。現在、シェレメチェボ1は主に国内線専用として使用されており、いずれビジネスジェット用ターミナルとされる予定である。
シェレメチェボ2(=ターミナルF)も2008年末をめざして補修が行われている。完成後の処理能力は現在の年間800万人から1800万人に倍増し、エアバスA380にも対応できるようになる。また、上述のとおりシェレメチェボ3(=ターミナルD)と接続されることにより、2つのウィングを持つ一体のターミナルビルとなる。オフィスビル「国際ビジネスセンター」も同時に建設される。
さらに、シェレメチェボ2とシェレメチェボ3の間にターミナルEが建設中であり、2010年前半の完成が予定されている。
現在の2つの滑走路についても、拡張を含む大幅なリニューアルが予定されている。また、3,200m×60mの規模を持つ3番目の滑走路の建設が進んでいる。
主に国内線およびベラルーシとの国際線が使用する。ターミナルCに隣接している。
CISなどの短距離の国際線が使用する。シェレメチェボ1に隣接している。
主にスカイチーム加盟航空会社以外の国際線が使用する。1980年のモスクワオリンピック開催に向けて建設された。すでに陳腐化・老朽化が進んでおり、天井が低く照明が暗いことで有名である。各種手続きも滞りがちで、入国審査に1時間かかることもある。レストラン・バー・免税店などは辛うじて揃っているものの、椅子はほとんど無い。
2009年11月15日に供用が開始された。アエロフロート・ロシア航空とその関連会社及び、同社が加盟するスカイチーム加盟各社の専用国際線ターミナルである。
アエロエクスプレス(直通列車)、路線バス、マルシュルートカ(ロシアの乗り合いタクシー)、タクシーでのアクセスが可能である。 なお、他の空港との間を直接移動したい場合は、タクシーでの移動のみとなる。
シェレメチェボ2とべラルースキー駅を約35分で結ぶロシア鉄道傘下の直通列車。2008年6月10日開業。開業当初はサヴョーロフスキー駅が市内側の終着駅で、5時~翌1時の間に所要約35分で22往復しており、運賃は普通席250ルーブル(VIP席350ルーブル)であった。サヴョーロフスキー駅でモスクワ地下鉄9号線サヴョーロフスカヤ駅に乗り換えることで、市内中心部まで1時間程度で行くことが可能となった。運転間隔は最短20分~最長2時間50分と幅があったため、到着時刻によっては他の交通機関を利用したほうが早いこともあった。2009年8月28日にはモスクワ市内側の発着駅がべラルースキー駅(ベラルーシ駅)に変更され、利便性が向上した。26往復に増便されたが、最終列車の発車時刻は23時半に早められている。延伸後も所要時間と運賃は変わっていない。なお、空港行きのみサヴョーロフスキー駅に停車するが、べラルースキー駅行きはサヴョーロフスキー駅を通過する。 時刻表(英語)
なお、2004年11月20日より開始されたサヴョーロフスキー駅~(鉄道)~ローブニャ駅~(連絡バス)~空港の乗り継ぎルートは、直通鉄道の開業にともない廃止された模様である。
路線バス851番が、シェレメチェボ1→シェレメチェボ2→モスクワ地下鉄2号線レチノイ・ヴァグザール駅→シェレメチェボ1の向きに巡回している。また、路線バス817番が、シェレメチェボ2→シェレメチェボ1→モスクワ地下鉄7号線プラネルナヤ駅→シェレメチェボ2の向きに巡回している。運賃は25ルーブル。運転間隔は10分~15分程度。空港と地下鉄駅の所要時間は40分~1時間。地下鉄と併用することで、市内中心部までおおむね1時間半以内で行くことができる。
上記路線バスと同じルートをマルシュルートカも走っている。運賃は60ルーブル。乗客が一定人数集まり次第出発する。
現在モスクワ市内はヨーロッパで最も渋滞がひどい都市と言われ、空港~市内を結ぶ幹線道路はモスクワ市内最悪の渋滞の名所である。そのため市内の中心部のホテルまで自動車だと3時間以上かかることもある。目安として17:20に空港に到着して入国した場合、タクシーで市内中心部のホテルに到着するのは22:00頃になることが多い。出国にあたってタクシーを利用する場合は、十分な余裕を持って市内を出発するよう注意すべきである。
南北のターミナル間を移動するには、原則として路線バス、マルシュルートカ、タクシーのいずれかを利用する。ルートは上記「市内とのアクセス」と同様である。所要時間は約15分。この際、国際線~国内線の乗り継ぎはもちろんのこと、国際線どうしの乗り継ぎであってもいったんロシアに入国する必要があるので、ビザ(通常のビザまたはトランジットビザ)が必要となる。
なお、アエロフロート同士での乗り継ぎに限り、トランジット専用のバスが用意されることがある。しかし、待ち時間がかなり長くなる場合もあり、薄暗い待合室には売店などの設備はない。この場合、ビザは不要である。この点に関してはシェレメチェボ3の供用開始によって改善されるものと思われる。
1967年に日本政府とソビエト連邦(当時)政府の間で航空協定が結ばれ、アエロフロートと日本航空の共同運航により羽田-シェレメチェボ間の定期便が開設された。使用機材はアエロフロートのTu-114であった。
1969年になって共同運航が解消され、日本航空はDC-8による単独運航を開始した。そして2007年12月14日より、日本航空の乗り入れ空港がドモジェドボ国際空港に変更された。2009年現在、ボーイング777による週2便が運航されている。これにより、日本と当空港との定期便は、アエロフロートの成田空港便のみとなった。
2009年11月現在、成田空港との間にアエロフロートが毎日1便(運航機材はボーイング767もしくはボーイング777)運航しており、これが日本とシェレメチェボとの間の唯一の定期便となっている。以前は関西国際空港や名古屋空港との間にも定期便があったが現在は運休している。2007年、関空便の復活を目指していることをCEOが表明したが、その後の景気悪化により目処が立たないままになっている。
2009年現在、空港近くには以下の2つのホテルが存在する。