マリインスキー劇場 (Мариинский театр) は、ロシアのサンクトペテルブルクにある劇場。スターリン時代に改名され、1934年から1992年までレニングラード・キーロフ歌劇場の名で知られてきた。1989年よりV・ゲルギエフが総監督の地位に就いている。
1783年にエカチェリーナ2世の勅令により、オペラとバレエの専用劇場として開設された帝室劇場がその起源である。当初は石造りであったことからボリショイ・カーメンヌイ劇場の名前で親しまれていた。
1859年、アルベルト・カヴォスの設計によりネオ・ビザンチン様式の新しい劇場が竣工し、皇后マリア・アレクサンドロヴナの名にちなんで翌年マリインスキー劇場と命名された。1886年、併存していたカーメンヌイ劇場の閉鎖により、オペラとバレエは全面的にマリインスキー劇場に移管され、黄金時代を迎えることになった。
グリンカやムソルグスキー、チャイコフスキーの多くのオペラの初演はここで行われた。また振付師M・プティパの活躍により、 『眠れる森の美女』(1890年)や 『白鳥の湖』(1895年)、『ライモンダ』(1898年)などのバレエの初演が行われた。ハチャトゥリアンの 『スパルタクス』 (1956年)が初演されたのもこの劇場においてである。
帝政期からソ連時代にかけて、著名な指揮者や音楽家が数多く公演にたずさわり、A・パヴロワやT・カルサヴィナ、V・ニジンスキー、G・バランシン、R・ヌレーエフ、M・バリシニコフら第一級の舞踏家を輩出した。
2003年に、ポストモダン派の建築家D・ペローが、新築部分の設計コンクールに優勝した。