五大湖(ごだいこ、英:Шаблон:Lang)とは、アメリカ合衆国及びカナダの国境線をなす5つの湖の総称。塩湖以外では世界最大級の面積を誇る。また、五大湖・セントローレンス川水系は世界最大の淡水水系である。「内陸の海」、「アメリカの北海岸」と称されることもある。
五大湖は上流から順にスペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖の5つの湖からなる。
Шаблон:Langの頭文字を並べるとШаблон:Langとなり記憶術として用いられる。他には西から東へ並べた例としてШаблон:LangやШаблон:Langというのがある。 日本では上流から順に頭文字をとり「すみひえお」と覚える人もいる。
このほか五大湖・セントローレンス川水系に属する湖として、ヒューロン湖とエリー湖の間にセントクレア湖がある。スペリオル湖とヒューロン湖をセントメアリ川が、ヒューロン湖とセントクレア湖をセントクレア川が、セントクレア湖とエリー湖をデトロイト川が結んでいる。またエリー湖とオンタリオ湖をナイアガラ川がそれぞれ結んでいる。ナイアガラの滝はナイアガラ川にある滝である。ヒューロン湖はしばしばヒューロン湖とジョージア湾に分けて言及される。オンタリオ湖から流れ、大西洋へと注ぐセントローレンス川はオンタリオ湖より東、ケベック州内に入るまでのアメリカとカナダの国境線となっている。
約10,000年前の氷河時代にはこの地域は氷河に覆われていた。これらの湖の成因は、氷河時代が終わって氷河が溶け、それに伴って土砂が流出して土地が削られ、そこに水がたまったことであるといわれる。
北緯42-50度と全般的に緯度が高く、かつ内陸であるため、冬は非常に寒い。夏も、湖の水が冷却水の役割を果たしている影響もあり比較的涼しく凌ぎ易い。ケッペンの気候区分では五大湖・セントローレンス水系の全域がDf(冷帯湿潤気候)に属する。スペリオル湖北岸やセントローレンス川の河口付近では平均気温摂氏10度以上の月が3ヶ月しかなく、かなり冷涼である。あまりに寒いため、五大湖はその大きさにもかかわらず、ほとんどの部分が冬季には結氷する。そのため五大湖を経由する河川運輸は冬には停止される。湖岸域の氷の厚い部分の氷上での天然のアイススケートは冬の風物詩である。
また、シカゴの別名をということからもわかるように、五大湖周辺は(特に冬場の)風が強いことでも有名である。また、湖の影響で大気の湿度が増し、とりわけ風下にあたる東岸のミシガン州・オンタリオ州・ニューヨーク州ではブリザードが吹き荒れ、大量の降雪が見られる。これはシベリア気団が日本海を通過する際に湿度を増し、日本の北陸地方に大雪を降らせるのに似ている。
五大湖周辺は北アメリカ有数の工業地帯であり、湖岸には五大湖・セントローレンス水路の港湾都市が多数発達している。また、全般的に夏に冷涼であることから、避暑地・保養都市も点在する。以下に列挙するのはその中でも著名な都市である。
ヒューロン湖岸は人口の密度が低く、目立った保養・観光都市もない。人口数千人〜3万人ほどの小都市・町村がほとんどである。
五大湖・セントローレンス水路はミシシッピ川と並び、北アメリカの重要な水路のひとつである。他にもいくつかの運河が五大湖から各地域へと通じている。中でも代表的なのは、1825年に建設されたエリー運河と1848年に完成したイリノイ・ミシガン運河である。前者はエリー湖とハドソン川を結び、この運河を経由することで、五大湖周辺とニューヨークが船で行き来できることになる。後者はシカゴからミシシッピ川へと通じ、セントルイス・メンフィス・ニューオーリンズなどミシシッピ川岸の主要都市へと船を進めることができる。
五大湖は周辺の州の水道水源ともなっている。周辺の州政府は共同でこの貴重な水資源を管理している。また、周辺の地域は鉄鉱石・石炭・石灰石といった天然資源も豊富である。
このように、早くから水路交通を開拓し、また豊富な水資源や天然資源を有することで、五大湖周辺、特にアメリカ合衆国側には工業都市が発達し、北アメリカ有数の工業地帯へと成長した。ダルースで積みこまれた鉄鉱石は下流のゲーリーやクリーブランドへと運ばれ、鉄鋼産業の成長を促した。デトロイトには自動車産業が発達した。1950年代に至るまで、「コーンベルト」・「フロストベルト」と呼ばれる周辺一帯は隆盛を極めた。しかし、現在では「サンベルト」と呼ばれる南部の新興工業地帯に人口・産業が流出し、デトロイトやゲーリー、バッファローなど犯罪・貧困・環境汚染といった都市問題を抱える工業都市も少なくない。
重工業と並んで五大湖周辺の経済を支えているのは観光業である。冷涼であるため、湖内に点在する無数の島々にあるコテージやキャンプ場をはじめとする避暑地が点在し、クルージングやヨット、キャンプなどのバカンスを楽しむ観光客が多い。また、カワカマス目(ノーザンパイクやマスキー)やサケ類が豊富であり釣りのメッカでもある。趣味的・娯楽的な釣りと合わせて漁業も発達し、鮭・マスや白身魚などの漁業収入は地域一帯で年間40億米ドルに達する。
古くはこの地のネイティブ・アメリカンが五大湖で釣りをし、食料となる魚を得ていた。しかし、漁業が発達するにつれて鮭や各種白身魚などの漁業資源の枯渇に直面するようになった。アメリカ合衆国とカナダとの連携もうまくいかず、1950年代までには、ヒューロン湖・ミシガン湖のマスは約99%減少した。原因は運河の完成によって流入したヤツメウナギであるとされていた。
1960年代に入ると、水質汚染などの環境問題がそこに追い討ちをかけた。原因としては、周辺の都市化による生活雑排水や工業排水の増加、さらには廃油や有害化学物質の流入などが挙げられる。特に有名なのは、エリー湖に注ぐカヤホガ川の汚染である。川から出火するほど廃油汚染が酷く、ヒルの類さえも棲まなかったほどであった。スペリオル湖やセントクレア川などでは、Шаблон:Langと呼ばれる、コールタールや重金属を含むヘドロも発見された。
Шаблон:Langによると、「かつては大きな漁場であったが、今はいくつかの牙城が残るのみ」と言われている。